toyoshiの日記

日記です

中学受験の記録と学び

今年度は長女が小学6年生で中学受験をしていました。1月で無事志望校に合格して終わりました。私も妻も中学受験の経験がない中、塾にお任せしていたら成績は上がったり下がったりしつつ、昨年8月の時点でこのままだと志望校合格が危ないとなりました。そこから私が本腰を入れて協力するようになり、自宅での学習方針を変えて合格までやったことの記録です。

私の内心では「俺がやってやったぜ」と叫んでいますが、(当然ですが)娘が5年生から投げ出さずに続けてきた蓄積をうまくテストの点数に反映できるようにアシストできたかなというのが実際のところです。また妻のしてきた努力というのもベースにありました。

前提

いわゆる難関高は狙っておらず、残り5ヶ月で何とかバタバタしたという話です。私は自分が仕事もあるので一緒に勉強できるのは早朝と寝る前、休日の一部の時間でした。

準備(大方針を決めて家族で共有)

どこの学校を第一志望にするのか改めて決め、何をいつどれぐらい勉強してどのように成績が上がり、合格に至るのか壁に貼りました。漠然と「とにかく空き時間は勉強する」という方針では続かないと思ったからです。

そしてそれを1ヶ月ごとに更新して貼り直しました。その方針をベースに毎週の計画を立てていきました。

最初の賭け(算数だけ成績を上げる)

最初の2ヶ月はほとんどの時間を算数に使うことにしました。残り5ヶ月しかないのに他の教科を捨てるのは不安でしたが、成績に伸び悩んでいた時間が長かったので、まず「勉強すれば伸びる」という感覚を身につけるのが必要だと判断しました。

勉強法としては、全範囲の例題だけを繰り返しやって、問題を見ただけですらすらと答え方を説明できる状態を目指しました。例題と演習がセットになっている教材を使い、その教材の例題だけを4〜5周しました。

結果として、最初は解けない例題が多く、例題1つに10分以上かかっていたのがスラスラと解けるようになりました。その結果、ちょっとした応用も解けるようになり2ヶ月後のテストでは明らかに良い結果がでました。

教え方で工夫したこと

私が解説しても集中してないことが多かったです。子どもなので集中力が短いのは仕方がないし、勉強が楽しいわけではないので次のような工夫をしました。

  • 取り組む問題については声に出すか、指でなぞりながら読んでもらう。そうしてもらわないと教えてる側は子どもが読んでるのか。ぼーっとしてるのかわからないので。きっちり図や表を確認しながらみてるかなども確認できるよでよかった。
  • タイマーを使って勉強時間と休憩時間を区切る。休憩はしっかりとる
  • 途中からは勉強の初めにリングフィットアドベンチャーをやるようにした。心拍数を上げることで気分を良くなるし、記憶力も上がるという考えを採用。(脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方
  • 朝勉強する時間はアイス(ピノ)を一緒に食べてからスタートした。これがあるからギリギリ早起きが続けられた。

時間の使い方、長さの感覚について気をつけた

子どもは1週間や1時間の感覚などがないのが当たり前と考えました。大人の1ヶ月と子どもの1ヶ月の長さは全然違います。「あと1ヶ月しかないのだよ」「今日は時間がないのだよ」と言われても子どもにとってはどれぐらいかわからないのが当然と考えて対応しました。

スケジュールも1ヶ月、1週間、1日という単位でたてて壁に貼りました。家の中で一番目立つ場所に、誰でも見れる形で壁に貼ることで「今の時間は勉強してなくて大丈夫なの?」「今日は国語やらなくていいの?」という不安などから全員がこの紙をベースに話ができるようになりました。

30分単位で時間をみえるようにして可視化

  • 1週間で使える時間を見えるようにした。具体的には1週間のスケジュールを印刷して、勉強できる時間だけ別の色にして見せた。学校から帰ってきて1.5時間、塾から帰ってきて30分など意外と時間がないことが理解してもらえた。
  • 試験や受験までの日数もカレンダーを印刷して壁に貼った。「これだけしかないの!」と気がついてもらえた。
  • 休憩の取り方を教えた。10分休憩、仮眠
  • 休憩の時間には口を出さないようにした
  • 一人で学習させるときは開始と終了時にLINEで写真付きで成果を送ってもらい、緊張感を保ってもらった。

メンタル

受験はどういうゲームなのか繰り返し話しました。塾に行ってると上の人たちがたくさんいて自分がダメに思えたりするし、倍率が高いのを見ると3倍なんて負けてしまうと思ったりするからです。

  • トップの人たちに勝つ必要はない。志望校を第一希望とする人たちの中での争いである。前に何人いようと、何人後ろにいてもあまり関係ない。
  • 倍率は関係ない。同じ志望校の人たちより前に出られればいい。「倍率が100倍でも他が全員幼稚園児なら勝てるのはわかるでしょ?」という話をした。
  • 継続する力が大事だと伝え、朝は6時に一緒に起きて勉強を開始した。どうしてもやりたくないという日や寝坊した日もあったが、そういう日も1問だけやるということにした。「サボった日があった」「自分に負けた日があった」というのを作らないことを重視した。
  • 難関中学を目指すわけではないのと、メンタルが追い詰められるような受験にはしたくなかったので、睡眠は削らないようにして8時間寝るようにした。ベッドに入ってもそこから寝るのが遅くなることもあったので私が寝室で読書しながら寝付くのを見届けた。
  • 家でばかりやっていると飽きてくるので、運動ついでに歩いて移動して、喫茶店でやったりもした。

一緒に勉強する中で繰り返し伝えたこと

  • わからないことはすぐにわからないと私に言って欲しい。わからないことをわかるようにするためにやってるので、わからないことを恥ずかしいと私に対して思う必要は全くない。わからないことで私が怒ることはない。時間の無駄については怒ることがある。
  • 機嫌が悪くても無礼な態度を取らないようにしてほしい。家族は一緒に合格を目指すものチームである。
  • 上記に反して私の態度が悪くなったこともあった。その場合は私も必ず謝罪するようにしてた
  • 「勉強をしたくない」という気持ちは当たり前。したくないことだから競争をしている。やりたくない気持ちがあるからといって気にしなくていい。
  • やる気が出る時を待たない。やる気というのは出てくるものではない。やってるうちに出てくる。やる気がない時の行動を決めておくのが大事。
  • 行動を決めて続ける。朝起きてとは私は言わない「メガネをかけて」「トイレにいって」「アイスを食べて」と行動を自分に指示する
  • 人生においてやりたいことだけをやって他人より上手くできるようになることはほとんどない。他の人が遊んでいる時にやる。眠いときにやる。疲れてるときにやるなど、他の人ができないことを継続するから卓越したレベルになれる
  • 合格することができるのが一番だが、ここまで継続して、前にできなかった問題が一瞬でできるようになったり、知識が増えたことを覚えておいてほしい。この勉強方法でどんなことでも学んでいける

買ってよかったもの

生成AIの活用

現時点ではChat GPTぐらいしか使えるものがなくもどかしい思いをしました。数年すればどこの塾でも子どもに合わせた問題集が自動生成されるとかになるんでしょう。

うちでは

  • 面接のための問題作成をし、その答え方を子どもに合わせて模範回答を作った。それを参考にオリジナルの回答を子ども自身に考えさせた。
  • 面接の回答の"型"をいくつも出力させ、子どもに身につけさせた(結論->理由->具体例->結論のようなもの)
  • 今年の時事問題をリストアップし要約させる

ということに使いました。

そのほかの細かい技術

  • 暗記のやり方を教えた。塾では個人個人に暗記方法は教えてくれない。暗記方法はいろいろあるので、本人が納得できて「暗記するときはこれ」という型が備わればそれでいいと思う。間違えたら音読3回するとか、単語は3回書くとかそういう決まりがあることが大事
  • 問題の解き方・ミスらない方法を教える。算数の文章題だと、文章を読んでも頭に入ってないことがありそうだった。指でなぞって読みながら「図1のグラフは〜」と出てきたら図1を見て確認するとか、この問題の答えは1つなのか複数などなのかなど問題の読み方を教えた。国語なら「それ」を置き換えて文章が成立するか読み直すみたいなテクニック。
  • 子どもは計算して答えがかければ勉強が終わりと思っている。しかし実際は問題について理解し、解き方を覚え、検算までできて解けるようになったと言える
  • 問題を見たら解き方を口で説明してもらう。それがすらすらと言えるようになったらその問題は覚えたと言えることにする。
  • 問題を解いた後に確認や検算をするまでできたとはみなさない習慣をつける。テストで点が取れなければ意味がない
  • 最初は計算のケアレスミスが多かった。常に自分は間違えてると思って検算をしてほしいと伝えた。ただし誰にでも起きることなので自分を責める必要ない。ただミスは起きるものと思って必ずするようにと伝えた。
  • 計算前に"あたり"をつける癖をつけてもらった(元の数字より増える問題なのか減る問題なのか、10倍になる問題なのか、2倍以内のかということを先に考える)
  • 計算後にも変な数字じゃないか考える(Aさんのスピードが毎秒1kmなど、ありえない数字になってないか確認する)
  • 筆算なら時間がなくても一の位だけは検算する

これらのことは娘の勉強風景や模擬テストを解いている様子を見る中から必要だとわかり教えました。こういうことは集団授業の塾では教えてもらえないし細かく見てもらえないのですね。

子どもからのフィードバック

最後にKPTでフィードバックをもらいました。いくつかのフィードバックの中で私がショックだったのは朝起きて勉強というのは嫌だったという感想でした。お互い眠いので不機嫌で、集中もできてなかったということでした。ただ、朝の時間がなければ合格もなかったことは認めておりとにかく早起きが嫌だったということのようです(そう信じたい)

感想・反省・学び

私の反省はもっと早めに子どもの状況や、塾の教え方について関わるべきだったということです。9月以降からやっと教材を見たり、テストの直しをしたり、塾の先生とも話すようになりました。

それまでは子どもと妻に任せっきりで、妻はアラートを出してくれていて、私も真面目に聞いていたつもりでしたが、表面的な理解しかできてなかったと後からわかりました。

学んだのは観察することの大切さです。10分でも子どもがどのように計算問題を解いているかというのを観察すると驚くほど多くのことがわかりました。分数の割り算をどのように処理してるか、プリントの余白をどのように使っているかなど塾から送られてくる分析にはあらわれてこないことがたくさんありました。

中学受験される方にアドバイスをまとめるなら

  • 受験は劇薬。家庭や子どもが壊れてもおかしくない。一方で家族の結束になる機会でもある。少なくとも子どもが受験したいという意思がないとうちは続けられなかった
  • 情報収集する人は自力で情報収集して進めるとして、現段階で中学受験について漠然としているのであれば小学校低学年のうちから読解力と計算力はつけておいて損はない。例えば公文の国語と算数をやっておくのがメリットが大きい
  • 行きたい学校のレベルに合わせた塾選びが重要・場合によっては家庭教師とスタディサプリなどのアプリでも十分かもしれない

短い期間でしたが、ここまで子どもと本気で向き合うということは貴重な時間でした。合格というのはラッキーとしてもらえましたが、子どもがこれだけのことをやり抜いてくれたことが本当に嬉しいです。今回の勉強のプロセスが家族としての学びに、そして子どもの財産になってくれるのであれば取り組んで良かったと思います。