ミッドランドインキュベーターズのペア読書会(https://midland.doorkeeper.jp/events/93985 )にて読みました。この本を買ったのは2年ぐらい前なのですが前半だけ読んでそのままだったので読みきりました。
この本は「どんな〝ジョブ(用事、仕事)〟を片づけたくて、あなたはそのプロダクトを〝雇用〟するのか?」 という見方について書いた本です。
ある製品を買うということは、単に買いたいというわけではなく、何か片付けたい用事や仕事があるはずで、それについて深掘りことがイノベーションに繋がるとかそんな感じです。
本書に出てくる例ではミルクシェイクの売り上げを増やしたいファーストフード店が登場します。売上のデータを分析してみてもいろんな年齢層の人がいろんな時間帯に買っていっているということしかわかりません。そこで、よく顧客を観察してみると朝ドライブスルーでミルクシェイクを買う客は、通勤の退屈な時間の間に時間をかけて楽しめる物が欲しかっただけという理由で買っていたり、夕方には子どもにご褒美をあげたい親が買っていたということがわかりました。
普通売上を増やそうと考えると、顧客の年齢を分析してみたり、味を良くしてみたりということを考えたくなりますが、この例でいうとこういったことが効果的とは言えないことがわかります。
なぜなら顧客は「うまいものを食べる」という体験を買っているのではなく、「会社までの時間をつぶす」「子どもにいいところを見せる」というジョブを終わらせてくれるものを買う(雇用)したいだけだからです。
他にもわかりやすい例としては2つあって、一つは住宅販売の会社が最初は「住宅を売るのが仕事だ、最高の家を提供することが大事だ」と考えていたのが、顧客について知るようになると、実は顧客は引越ししたときに思い出の詰まったダイニングテーブルや他の家具がどうなるかということをとても重視していることがわかり、それらの不安を解決するための家具の預かりサービスや、ダイニングテーブルが持って来やすい部屋づくりをするようにしたらキャンセル率が下がったというような話です。
もう一つは、中国で紙オムツの普及に時間がかかっていたのが、これもまた顧客について知ると、既存の顧客は子どもが夜起きなくなることや、長時間寝ることによって脳の発達に好影響があると感じることに価値を感じていたことがわかり、キャッチコピーを性能を訴えるものからそのように変えたら売上が急増したというものです。
このジョブ理論を知ったからといってイノベーティブな製品が作れるとは限りませんが、「顧客は何を雇用しているのか」という視点はわかりやすくて、新しいアイデアのテストや、自社製品のブラッシュアップにはとても良さそうです。
「自社の顧客は何を雇用しているつもりで我々の製品を買ってくれているのか?」「買ってくれた人たちはこの製品でジョブが片付いたと感じれるだろうか?」というような簡単な質問を使うことで、ミルクシェイクの例のように自社製品が提供している本当の価値は何か?年齢や性別といったもの以外に顧客を分けることができる何かがあるのじゃないかということに気がつけそうです。
ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書トップポイント大賞第2位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)
- 作者: クレイトン M クリステンセン,タディホール,カレンディロン,デイビッド S ダンカン,依田光江
- 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
- 発売日: 2017/08/01
- メディア: 単行本
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