「男らしさの終焉」という本を読みました。私にとって良い読書とはその本を読む前には決して戻れない体験のことなのですがこの本はまさにそれに該当する一冊でした。
本書では現代の男性がいかに古い男性像「強くあれ」「リーダーシップを発揮しろ」「涙を見せるな」「舐められるな」といった価値観に苦しめられているかということをとき、これからの新しい男性像について模索します。
著者はこのような男性の権利を主張します
《男性の権利》
傷ついていい権利
弱くなる権利
間違える権利
直感で動く権利
わからないと言える権利
気まぐれでいい権利
柔軟でいる権利
これらを恥ずかしがらない権利
これらは旧来の男性の価値観の裏返しでもあります。要するに
- くよくよするな
- 涙を見せるな
- 間違えたら恥ずかしい
- わからないなんて恥ずかしい
- 一貫性をもて
- 一度決めたことをやりぬけ
こんなことを自分の脳みそが囁いてくることがあったり、もし身近な男性にこういうことを期待しているのであればちょっと立ち止まってみようよということだと私は理解しました。
例えば私自身で言うと、夫として父としてしっかりしていなくてはという気持ちがあります。他にも会社では経営者として迷っているような素振りを見せるのは嫌だし、一貫性のないことはしたくないという気持ちがあります。そして、もしその重荷がなくなればよいけど男だからかなのか仕方がないと思っているところがありました。
しかし本書を読んで考えてみると、そのような振る舞いは妻にも子供にも会社の仲間にも直接お願いされたことはありませんでした。私がいつの間にかそうあるべきと思っていたのです。
どう振る舞うか、どうみられたいかというのは個人の自由ではありますが、その理想のうちどれぐらいが自分の内から湧き出たもので、どれぐらいが外部の影響によるものなのか知っておくのは重要です。また、今感じている生きづらさやプレッシャーが根拠のあるものなのか、そうでないのかといった区別ができることも自分を楽にしてくれるでしょう。本書はそういった整理の仕方があるんだというのを教えてくれました。
他にも自分のためだけでなく、子育てをしている人にも自分の子供のジェンダーに関する教育についても考えさせてくれます。
私は著者のように女性の格好をしようとまでは思いませんでしたが「服を選ぶときに意味なく男の服を選んでたのはなぜだろう?」と考えられただけでも意味があったように思います。今日たまたま店に行ったので早速今までとは全く違う中性的なテイストのものを買ってみました。(私はこの時期は10年ずっとほとんどTシャツとポロシャツだけを着ていたので私には大きな変化です)
おすすめです