屋外での水耕栽培装置を作っているのですが、ついでに室内でも栽培したくなりました。しかし、室内におくのであれば毎日見てもストレスのないデザインがいいなと思い、自作してみることにしました。
目的と方針
- 毎日見ていて嫌じゃない見た目にする
- 水が循環するようにする
- 水がなくなったことは自動でわかるようにする
- 量産などは考えない(部品がすごく取り換えやすいとか)
- 成長促進のためのLEDは付けない
できたもの
- 水が一定時間に1回、栽培ポットに流される
- 水が無くなったらLEDが点灯する
製作過程
まずは見た目を決めます。なんとなくのイメージがあったのでダンボールとペットボトルで試作しました。この時点では防水を確実にするために水を入れる部分はペットボトルを流用しようと考えていました。
次にCADソフトで設計をします。設計をしてみると水を循環させるモーターや、水があるかどうかのセンサーをペットボトルに入れて固定するのが面倒そうだとわかったので、製作する容器に直接水を入れることにしました。
容器は水を入れるところと、水の制御のためのマイコンを入れる2部屋に別れた単純な構造です。下部に電源を取るための穴を開けておきます。
一定時間ごとに根に栄養の入った水をかけることで養分を補給するとともに、ずっとは水に浸さないことで酸素を補給し、根腐れを防止して育てるという方式です。
3Dプリンタで出力します。分けて出力して接着剤でくっつけます。PETGの接着には
セメダイン 超多用途接着剤 スーパーX クリア 135ml AX-041
を使いました。PETGはつきにくいということだったので不安でしたが、試しに余ってた2台の3DBenchyの船底同士をくっつけたら翌日には両手である程度力を加えても取れないぐらいの強度になっていました。(思い切り力を加えたら船の屋根が先に壊れました)
次は中身を作っていきます。使うのはobnizというマイコンと、水中ポンプ、土壌水分センサーです。obnizを選んだのは他のマイコンと違って直接1Aの電流を流せるからです。これによりモーターを直接マイコンに接続して動作させられるのでスペースの節約になります。esp32単体などだと別で電源を複数系統用意したり、ドライバ回路が必要になります。
なので今回は回路図などはなく、ポンプ、水分センサ、LED(抵抗付き)を直接obnizに挿すだけで回路は完成しました。
今回使用したパーツ
適当に接続したらプログラムを組みます。obnizはネット上のブロックプログラミングで簡単にコードが書けるのでサクサク進みます。このコードはJavascriptに変換もできるので複雑なことをしたいときにも対応できます。デメリットはobnizをずっとネットに繋げておかないと動作しないことですが、今回は室内で使うものなので問題ありません。
水がなくなった時 pic.twitter.com/nW7grsyc7g
— とよし (@toyoshi) 2020年5月8日
水がない時はLEDが光るようにしました。これで私が水やりを忘れるようであればSlackやLINEに通知する、音をならすなども検討します。
次はできた容器の防水をします。以前3Dプリンタで水を入れる容器を作った時はなにも処理をしないと30分ぐらいで水漏れがしてしまいました。調べてみましたが積層型の3Dプリンタでは隙間なく作るというのはなかなか難しいようです。今回はPLA, Layer Height 2mm, Infill Density 20%で出力して防水塗料を三回塗りました。今のところ水漏れしていないのでこの方法で良さそうです。使った塗料はパジコ 水性防水材 ツヤなしです。他にエポキシなどを塗るという手段もあるようです。(タミヤ メイクアップ材シリーズ No.136 透明 エポキシ樹脂 (150g) 87136)
最後に組み立てていきます。パーツの固定と防水をします。
土壌水分センサーは水のまわりで使うものなのに防水されていません。メーカーのサイトをみたら大きめの熱収縮チューブで囲ってくださいというアドバイスがありました。私は板とホットボンドで防水しました。
いい感じに水出てる pic.twitter.com/1kdlJ3elnx
— とよし (@toyoshi) 2020年5月7日
ポンプと吐水口もホットボンドで固定します。この吐水口も3Dプリンタで作りました。こちらはInfill Density 100%で密度を高く作ってあります。
最後にプログラムが一定時間ごとに水やりをするように設定しました。(obnizのサーバレスイベント機能)植物を配置したら完成です。
植えたのはリーフレタスです。黒い豆のようなものはカルチャーボールという保湿のための繰り返し使える石のようなものです。
まとめ
ひとまず目的のものができました。水やりも不要でたまに水を補給してやればいいだけです。
個人的には作った物を小さな箱に収めるというのが初めてだったので、その難しさの一端を味わうことができました。こんな数個のパーツだけでも、狭い場所で機能させつつ、メンテナンスの容易さなどを考えると難しかったです。
今後やるとすれば、転倒しても水が漏れなくしたり、他の人にも作りやすくしたり、回路部分の防水をもうちょっとちゃんとやるというところでしょうか。