フリーランスのための会社設立マニュアル(新会社法対応版)

僕は2011年6月2日にスタンドファーム株式会社という法人を設立しました。株式会社の設立には以前から興味があったので多少の知識があるつもりだったのですが、いざやってみると2006年に施行された新会社法のおかげで私の古い知識が役に立たないことが多かったです。


このエントリでは会社設立の流れを追いながら僕が感じたことやこれから設立する人にアドバイスしたいことをメモしておきます。これから株式会社を設立しようと思っている人、私のように個人事業主から法人成りしようとしている人の参考になれば幸いです。

今回の株式会社設立の方針

  • 一人で設立する(取締役会、監査役をおかない)
  • 個人事業は廃業する(法人成り)
  • できるだけ安く(最終的に27万円ぐらいでできた)
  • 手続きは理解しつつ、人に頼めることは頼む

思い立ってから株式会社設立完了までの流れ

  1. 基礎知識をつける
  2. 税理士をきめる
  3. 会社名をきめる
  4. 会社設立代行会社をきめる
  5. 印鑑を購入する
  6. 定款を公証人役場にもっていく
  7. 資本金を振り込む
  8. 法務局に登記申請をする
  9. 印鑑カード、印鑑証明、登記簿謄本をもらう
  10. 銀行口座を開設する
  11. 各官公署へ届出をする
  12. クレジットカードをつくる

1.基礎知識をつける

最初にまったくわからないまま会社を設立するのは嫌だったので自習をしました。


具体的には本を数冊読んだあと、私の住む名古屋市には名古屋市中小企業振興センターという市が運営している無料で相談センターがあるので電話予約をしてわからないことを全部聞きました。


名古屋市中小企業振興センターは、私一人に対して4人もの専門家の人が話を聞いて下さり、本ではわからなかった発起人ってなにとか、株ってどれぐらい発行するもんなの?とかっていう疑問がスパスパ解決しとても助かります。


参考にした本は以下の3冊です。心配性なので3冊読みましたが1冊読んで相談できるところに行けば十分でしょう。


2.税理士をきめる

自分で決算報告をするという人以外は早めに税理士を決めましょう。


小規模な会社であれば毎月の顧問料が2-3万円。決算の月にその6ヶ月分。監査が入ったときは別途報酬が必要というのが相場です。


税理士は会社設立に関してもとても詳しいので早めに仲間になってもらえるとこの後の手続きが非常に楽になります。(設立日や決算日なども税理士のアドバイスを聞いておくと安心です。)


選ぶポイントとしては税理士というのは会社のすべてを知る人になるので、能力よりも人柄で選ぶのが大事だということです。経営者が心を許して話せる唯一の相手といってもいいかもしれません。


僕は個人事業主の時に大きすぎる税理士事務所を選んでしまい、仕事は十分やってくれるのだけど対応が事務的すぎて寂しいなと思っていたので今回は以下のような条件で探しました。

  • 税理士事務所のサイズが大きすぎない => 所長と直接話せる
  • 自分と相性が良さそうか
  • 顧問料は希望の範囲に入っているか(記帳もやってもらって月2万円以内希望)
  • 毎月訪問して欲しい(月に一度は経理について考えたい)
  • 若くてインターネットの事にも明るい(必須)

税理士は知り合いに紹介してもらったり、ネットの一括見積もりサイトで探す他に、法務局や前記の中小企業振興センターなどでも紹介してもらえます。5人ぐらいと会ってみるのがいいと思います。


私は名古屋の坂税理士事務所の坂先生にしました。イケメンです。


3.会社名を決める




楽しい人には楽しいけど、苦手な人には苦手な名前決め。事務的なポイントとしては以下の3つ

  • 前株と後ろ株はどっちでもいい(後ろ株のほうが名前が目立つ)
  • 名前にアルファベットが使える
  • 昔と違い同一市区町村に同じ名前があってもいい(同じ住所はだめ)

これに加えて僕が重視したポイントは2つ

  • 領収書をもらうときに面倒くさくない(一度で聞き取れる)
  • お客さんではなく自分に対するメッセージを込める

2週間ぐらい悩んだあげくに「こういう意味を込めた名前にしたいんだ」と相談して人にだしてもらった名前に決めました。もくもくファームなどの牧場系店舗に行って領収書をもらうときに恥ずかしいという以外はとても気に入っています。


しかし世の中には株式会社ギュギュギュギュギュイーンという強烈な名前(電話で先に株式会社といわないと切られるらしい)から空飛ぶ株式会社というようなひねりのあるものまでいろいろあって面白いです。

4.会社設立代行会社をきめる

今回の会社設立にはいろいろな書類が必要で手続きも多いので書類作成の代行会社(行政書士)を使うことにしました


具体的に必要な書類は発起人決定書、定款、設立登記申請書、登録免許税納付用台紙なんかが必要です。


書類の提出なども面倒ということであれば司法書士に頼めば法務局などに行く手間すら省くこともでき、この場合は一度も外出すること無く会社を設立できます。(行政書士は書類作成はできても提出の代行はできない)


ところで、本屋に行くと”これ一冊で自分でできる”というような本がありますが、これは自分でやる時間を考えるとおすすめできません。 


また、定款は電子定款といって専門家に頼んでPDFで認証してもらうと4万円ぐらい節約できるので金銭的にも代行してもらったほうが得な仕組みになっています。
(電子定款の認証をするためのソフトは揃えるのに4万円以上かかる)


僕が頼んだところは9,600円で書類を揃えてくれるところでした。書類を作ってくれるだけでなく、書類を受け取った後になにをすればいいのかというマニュアルもついており非常に分かりやすかったです。



会社設立専門・格安代行センター


他にも格安のところはたくさんありますが、あまりにも安いところは設立後の顧問契約が条件である場合があるので注意してください。

5.印鑑を購入する



書類のほかに必要なものは印鑑です。時間がかかるので名前が決まっていれば早めに注文しましょう。
法人の印鑑は代表者印・銀行印・角印と3種類作るのが普通です。


印鑑は高いからといって商売がうまくいくわけではありませんが、あまりちゃちなものを注文してあとから割れたりすると再登録などでお金と時間がかかります。


私はなんでもいいやと思い印鑑市場というネットの店で18,000円ぐらいのを買いました。


が、全然リサーチが足りなくて一式3,060円という激安のものもあったようです。

6.定款を公証人役場にもっていく (7,8も一緒の日にできます)

定款ができたら近くの公証役場にいって 定款が正しく作成されたものであることを証明してもらいます。この認証には5万円手数料がかかります。


電話予約が必要なので注意しましょう。また発起人全員の実印をもっていくと安心です。

7.資本金を振り込む

資本金は個人の口座に振り込み、その通帳のコピーをとればOKです。


以前は払込金保管証明というのが必要で面倒だったのですが、これも新会社法で不要になりました。


出資者の名前で記帳される必要があるため、自分の口座からお金を引き出して、現金でまた自分の口座に振り込むという奇妙な作業をしました。


このお金は登記が認められるまでは原則使ってはダメですが、明らかな経費とかであればOK(登録免許税など)でした。


資本金は1円からOKなのですし、事務的や法律的に困ることはあまりないのですが、資本金の額が会社の評価の一部になることはあるので、最低でも300万円以上が好ましいと名古屋市中小企業振興センターでは強めに言われました。(あとから増やすこともできるが履歴は残る)


今回私は使いませんでしたが、現金以外で資本金を増やす方法として新会社法では500万円までは簡単な申告で現物出資ができるようになっているので、ウェブサイトや営業権、自動車などの財産がある人は活用するといいと思いました。現物出資に対応した安い代行会社もあるようです


会社設立ひとりでできるもん

8.法務局に登記申請をする

いよいよ登記申請です。これが終われば会社が設立されます。


必要書類と登録免許税が15万円の印紙を持って法務局に行きます。15万円の現金がたった2枚の印紙に変わるというのは不思議な気持ちでした。


なお、この提出日が会社の設立日になりますので、思い入れのある日にしたい人はその日に行きましょう。個人事業主の場合は個人事業の廃業と合わせるとよいので税理と相談することになります。僕は祝日がいいと思ったので6月2日にしました。


登記は申請から10日ほどで終わります。補正が必要でない場合以外は連絡はありません。


しかし私の場合は本店所在地の住所を間違えていたので、電話があり法務局にいき8箇所ぐらい訂正しました。

9.印鑑カード、印鑑証明、登記謄本をもらう

登記が終わったら印鑑カードをもらいに行きます。当たり前かもしれませんが無料で発行してもらえます。


印鑑カードをもらうと印鑑証明、登記謄本が取得できます。ここであー会社ができたんだなと実感がわきました。

10.銀行口座を開設する

銀行口座を開設しに行きます。僕は事務所引越しの予定があったので今の本店所在地から離れた銀行の支店に開設に行ったところ「最寄りの支店にいってください」と断られました。


法人口座の解説はテロリストや犯罪組織などに使われないために審査が厳しいようです。

11.各官公署へ届出をする

当たり前といえば当たり前なのですが会社を作っただけでは税務署などへの届けでは行われませんのでいろいろな手続が必要です。

とても面倒ですが普通は税理士に頼めば全部代行してもらえます。

12.クレジットカードを作る

一般に設立したての法人が法人名義のクレジットカードを作るのは難しくて3期はかかるなんていいますが、あきらめてはいけません。もし個人事業主としての実績があるならチャンスはあります。私は個人事業主時代の決算書を提出して三井住友カード(年会費2000円)を作りました。法人の口座では振り込み手数料も高いのでクレジットカードがあると非常に助かります。


個人事業主の決算書なんてないって人も、アメリカンエクスプレスカード(年会費3万円)なら比較的作りやすいそうです。


その他個人事業主のための事項

  • 個人事業は廃業したほうが税務上楽
  • 大手との取引も法人成りと言えば契約書の更新など必要ない場合が多い
  • ”法人成り”というのは言葉だけで何かが引き継がれる手続きなどがあるわけではない
  • 税理士報酬は2倍ぐらい必要になる
  • 賃貸住宅で個人事業をしていた場合、契約によっては法人の登記は無理な場合があるので要確認

まとめ

  • 資本金以外に27万円ぐらいあれば株式会社は設立できる
  • 地域の中小企業支援を活用しよう
  • 最初に税理士と契約しろ。強力な味方となってくれる
  • 定款作成などは代行してもらったほうが安くなる(4万円)
  • 公証人役場、法務局へそれぞれ1回行くだけで会社は設立できる
  • 起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なことストックオプションってどうやってどれぐらい発行するの?とか、資本金の少ない会社がベンチャーキャピタルから出資してもらったら速攻で乗っ取られるんじゃないの?と思っている人に非常に分かりやすく為になる良本
  • 個人事業主でやっていた実績があればクレジットカードは作れる