大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法
- 作者: カル・ニューポート,門田美鈴
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/12/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Amazonの記録によると買ったのが2018年5月なので、どういうきっかけで購入したかは忘れましたが、問題意識としてはやはり「最近集中できてないな」ということだと思います。
(今は仕事をやめてしまいましたが)当時は会社に行くと朝からみっちり30分や1時間という単位でミーティングが入っており、気がつくと夕方になっている。空き時間があっても1時間とかで、ちょっとSlackを眺めていると終わるという感じでした。
さらに職場から自宅が近いのがよくなくて、10分歩いて帰ると、子どもたちが待っていて風呂に入れたり、歯を磨かせたり、食事に付き合ったりしているとあっという間に21時になり、ヘトヘトになる。それからは自由時間といってもとても何かに集中できるという感じではありませんでした。
これは何かが変だと本書を手に取ったということです。
ネットのせいで集中力と思考力が削られている
本書では集中している仕事時間のことをディープワーク、逆に浅い仕事をシャローワークと呼んでいます。
ディープワーク:あなたの認識能力を限界まで高める、注意散漫のない集中した状態でなされる職業上の活動。こうした努力は、新たな価値を生み、スキルを向上させ、容易に真似ることができない。
筆者はディープワークは現在の知力から自分自身の価値の最後の一滴までを絞るために必要だが、ネットのせいでシャローワークの時間が増大し、集中力と思考力が削られていると主張しています。
以下、印象に残った点です
なぜディープワークが必要か
- あらゆるもの陳腐化が早くなり、複雑なことを素早く身につける必要がある時代になったから
- デジタル・ネットワークによってありふれたものをつくっても十分な対価を得られない時代になったから(これまで仕事だったことが仕事とはいえなくなってきている)
ただし、ディープワークが万能とは言っていない
- ディープワークは唯一の有益なスキルというわけではない。例えばジャックドーシーは2社を経営しており明らかにディープワークはできていない。他にもセールスマンやロビイストには人との連絡を欠かさないことが重要だったりする。
- 仕事の切り替えが簡単にできる人とできない人がいる。早い人は20分でも空き時間があれば集中できてしまう。
ディープワークをどう実践するか
著者の例はこんな感じ
- 1日に3時間か4時間、週5日間の時間を確保する
- 帰宅したらコンピューターに触らない(例外:子供が寝たらブログを書く)
実践Tips
- 決められた一定時間をディープワークに当てる方法もある。1週間単位、シーズン単位など。ただし、午前だけ、午後だけとかは短すぎる。
- 注意力を奪う代表的なものは、オープンフロア、チャットなどのインスタントメッセージ、SNSでの発信
- 注意散漫のコストをは測定がむずかしいので組織で無視されがち
- シャローワークとディープワークの割合を決めておくことで、優先順位の低いシャローワークをへらしていくという方法もよい
著名人の集中時間の確保の実践例
- カールユング:電気の引いていない隠れ家を建築し自分だけが入れるようにした
- J・K・ローリング:「ペンと紙の方が大事」ということでソーシャルメディアから遠ざかった。『死の秘宝』を描き上げるためにホテルのスイートに缶詰になり金銭というプレッシャーをかけた
- ニール・スティーブンソン:「(もしまとまった時間がなければ)長く読まれる小説の代わりに、個々人に送ったメールの山ができるだろう」と言った
- 筆者の知り合いのベン:プログラミングを集中的に学ぶため、コンピューターのない部屋に、メモカード、マーカーだけをもって閉じこもった
- ビル・ゲイツ:年に2回、1週間読書の時間をとっている
- リチャード・ファインマン:自分自身に「私は無責任だ」という神話をつくり、頼まれごとをしても(無責任なので)ノーと言うようにした
- ドナルド・クヌース:連絡は郵便でもらうようにした。郵便はアシスタントがより分け、緊急度に応じてまとめて対応する
- ブライアン・チャペル:毎朝5時半から7時半までを論文の執筆にあてた
最後に
- 自分のやっていることを、ディープワークとシャローワークで分けて考えられるのは良い考え方だと思ったので意識するようにしたい
- 経営者(ジャックドーシーの例)など、シャローワークが重要な仕事もあるし、ディープワークとシャローワークを両立することもできると知れたのは良かった
- まずはSNSでの無駄な発信を減らす、やらないことを増やすというところから実践してみようと思う。
大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法
- 作者: カル・ニューポート,門田美鈴
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/12/09
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