「公共」を自分の人生に導入する


読んだ。事務所内に作った3席の無料のバーから、コーヒーを街角で振る舞うようになった著者の本。

「公園で自分でコーヒーを無料で振る舞ってみたらどうなるだろう?」
「自宅の前に誰でも使えるベンチを置いてみたらどうだろう?」

そんなことを考えるとワクワクしないだろうか?
僕は「やってみたい!」「もし皆もそう考えたら世の中面白くなるんじゃないか」とワクワクした。

特によかったのは、営利活動・趣味・ボランティアなどの活動と、本書の提唱するマイパブリック(自家製公共)という活動の違いに自分自身が気が付けたことだ。

例えば僕は興味のない人とコミュニケーションをしないので、コミュニケーションが必要なバーのマスターのような仕事は務まらないと断言できる。そしてNPOも寄付はするが参加はしないし、ボランティアも同じ。趣味も知らない人とはやりたくない。なぜならそこには私が苦手な興味の湧かない人とのコミュニケーションが必要だからだ。

だけど過去にIT系勉強会を開催したり、イベントを企画するようなことはしてきた。IT系の勉強会は100回以上、毎月1万円とかを自分で負担して開催してきた。他のイベントも営利ではやったことがない。

他人との会話は苦手なのに、勉強会や交流会の企画などが楽しいのは何か矛盾していると自分で感じていた。しかし本書のおかげでそれは矛盾じゃないんだと整理できた。後者は公共的な活動だったということだ。

営利活動ではないことはもちろん、Give&Takeな活動でもないから続けられたのだ。私は参加者に何も期待する必要がなく、ただ好きな人とだけ交流ができた。これが見返りを期待するものだったら疲れてしまっていたはずだ。

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少し前にサピエンス全史という本が流行したが、その本を読んで一番感動したのは訳者のあとがきだった。「読後に世界が読前とは同じように見えなくなるような体験ができることが読書の魅力である」と私が思う読書の魅力が簡潔に表現されていたからだ。(そして長ったらしい本編を数ページで見事にまとめてくれている)

そういう定義からすると、本書は私に取ってすごく良い本だった。自分の時間は家族、趣味、仕事の3択ぐらいにしか思ってなかったのが今後は公共が加わるからだ。もう過去の考え方には戻れない。

これまでやってきて、今も続けているNPO支援、起業家支援、勉強会開催、オープンソースへの貢献といった活動はマイパブリックの活動だったのだろうけど自分の中で整理できてなかったものが整理できたのはとても気持ちがいい。

本書には他にも水で道に絵を書く人だとか、カレーキャラバン、自宅前の業務用灰皿などいろんな自家製公共の事例が出てきて楽しいですが、そこからグランドレベル(≒まちづくり)にさらに話に広がっていきます。そんなことにワクワクを感じる人はぜひ